AO-MONOLOGUE-LITHIUM 2022

ひとことで言うと、無料で公開している短いエッセイです

嘘を見破る3つのコツ

前回の記事でワクチン陰謀論に浸ってしまうひとたちにはひとを見る目がないことを指摘した。すると、今度は「じゃあお前にはひとを見る目があるというのか? お前は神様か?」と意地悪な反論というか嘲笑が飛んできそうだったので、飛んでくる前に打ち返そうと思う。 精神科医の僕がいうのだから間違いないが、僕にはひとの性格や真贋を瞬時に見極める能力がない。そんなものがあるなら今すぐ精神科医を辞めて、その特殊能力だけで世界中を渡り歩いて大金を稼ぎたい。もちろん、その辺に寝転がっている普通のひとに比べたら多少ものごとを慎重に見極めようと努力はしているが、精神科医とはいえ簡単にひとに騙されてしまう。困った。そう、詐病(病気のフリをするひと)もたまにいるからこれが結構困るんです。ちなみに発達障害のひとはよく診察室でうつ病のフリをします(うつ病に擬態する)。精神科の日常臨床ならまだしも、たとえば重大事件の容疑者の精神鑑定で精神科医が演技に騙されたらシャレにならない。 騙されないための方法として、僕は自分が目利きではないことを逆手にとって、なるべく早期に判断を下さないこと、言い換えれば真贋がつくまで判断を留保することを心がけている。曖昧なところに留まりぐっと堪えて待つ。わからないなら安直にわかったふりをせず、わからないままの状態をしばらく持ち堪える。生き延びる。白黒ハッキリつけたほうが楽だが、どっちともつかないグレーに留まることは決して楽ではない。でも世の中そんなに割り切れるほど単純ではないし、悩むこと、判断をためらうことは必然的なプロセスだと思わないだろうか。初診で診断つけるバカな精神科医はいない。だからうつ病かどうかわからない時は慣習的に「うつ状態」という状態像で記載することが望ましいとされている。その人が信用できるかどうか、判断に迷ったらとにかく時間を置いて検討してみる。物事の判断が早い、迷わない、処理スピードが早いとよく褒められるひとは騙されやすいので注意しよう。これがひとを見極めるコツその1。 コツその2は、そのひとが僕を説得する作業を通じて何を獲得しようとしているのか明らかにすることである。要するに相手の成功報酬を詳らかにすること。ワクチン陰謀論者の報酬は、自分の名前が売れることで書籍の印税や講演会の多額のギャラを受け取ることだと考えられる。いわゆる逆張り(一般論と真逆のことをあえて主張すること)の戦略で儲けている。科学的な根拠はないが、なんか危ないということだけはハッキリと言う専門家がこれに該当する。NASAの職員が退職後に月面基地があると暴露するのも逆張りかなと個人的には思う。戦略として最初に言い出したひとが儲かるから。不安や猜疑心を煽り金にする。医者がそういうものに手を染めるのは本当によくないなあと僕はつくづく思う。ちなみに、僕がこの記事を書くことの成功報酬は、まだアフィリエイトを導入していないので収益化できないのでお金ではない。僕を熱心に応援してくれるファンのリスナーに僅かばかり恩返しすることである。これも嘘だ、と言われても信じてもらうしかない。僕は医者なのでお金にそれほど困っていない。目の前に落ちている小銭は拾わない主義だ。 コツその3が相手がいったいどのような責任を負っているかを明らかにすること。もし間違っていたらどう落とし前をつけるのかがあらかじめ誰の目にもわかること。僕はワクチンを打つことに医師として責任を持つ証として全ての予診表に自筆で二箇所署名する。ごくたまにだが「あれはどうなっているんですか?」と東京都の職員などから後日電話で説明を求められることもある。すこし大袈裟に言えば僕は医者生命をかけてこの仕事をしている。一方で、テレビでただ不安を煽っているだけの専門家はワクチンを打たないことで多くのひとが亡くなっても一切責任を負わないし、説明を求められることもないし、辞職しない。僕はこの理由で情報番組をあまり信用できないのでテレビを消してしまう(テレビはサッカー中継とアニメしか見ない派)。 ワクチンに関してわからないことがあれば今すぐテレビを消してかかりつけ医に会ってその場で聞くのが無難だろう。かかりつけ医がいないひとは知り合いの医者を何人かあたってみるとよろしい。その際は以上に述べたコツを忘れずに。

 

 

 

 

ao-hayao.hateblo.jp

 

ao-hayao.hateblo.jp

ao-hayao.hateblo.jp

 

ao-hayao.hateblo.jp