時間を奪うことは少しだけ殺すことである

白衣を着ていない先生がいらっしゃるというご報告もあがっております。いま一度ご確認をお願いします。　このような文面のメールがワクチン会場の運営の担当者から一斉送信された。白衣を着ていない先生というのはきっと僕のことだ。いや、他にも着ていない医者は何人かいた。前にも言ったように白衣を着ないことで医療的には全く問題ない。むしろ、着ることでヒラヒラな裾が汚れたり緊急時に動きづらかったっりとデメリットのほうが大きいと僕は思う。そんなことは運営スタッフはお構いなしで、着てください、ルールなので。白衣を着ていない医者もいて気になったと接種希望者からの投稿もございます、と念を押されるのでいちおう白衣を着ることにした。でも、相手の理屈というかなんとも理不尽な理由をひとたび易々と引き受けてしまうと、次も同じような理不尽な別の理由でいちゃもんをつけて強要を迫られてしまうかもしれない。予診の合間にiPadをいじっている医者がいました、iPadをいじらないようにお願いしますなど。なにもしていない時間にiPadをいじってなにが悪いというのだろう（でもクビを切られたらたまらないので僕は黙ってiPadしまうけど）。　医者とはいえ向こうが雇用者だ。お金が絡んだビジネスの世界には雇用関係という圧倒的な立場の格差があるから労働者の僕は絶対に逆らわない。しかしながら、なんの根拠もなく指示を出したり、上から目線で僕に命令を下すひとがネットの世界には一定数いる。荒らしだ。彼らは自分の立場を一切弁えず、ただ上司のように理不尽な要求を繰り返し、応じないと怒り出したり、「器が小さい」「煽り耐性がない」などと駄々をこねる。ご承知のように僕の配信には少なからずそのような困ったひとがいて、雑談の手を一旦止めてブロックなり通報なりに時間を追われる僕はタダ働きを強いられているのと同じことである。もしこのように利害関係はないけど理不尽な要求を突きつけてくる失礼なひとがあなたの人生に現れたらすぐにブロックないし絶縁することをお勧めしたい。よくわからない理由で僕のことを待たせてくる相手も躊躇なくブロックするようにしている。なぜかというと、こういうひとは自分の好き嫌いなどの価値観を他人に強要するバカだからである（土居的にいうと下手な甘え）。もし彼らになぜこんな理不尽なことをするのか？　と具体的に問うてみてもなにも有益な答えは返ってこないはずだ。僕が１１年間の配信で検証してきたので間違いない。こういうひとは僕の貴重な時間を奪う。時は金なり。時給１万円稼ぐとする僕がこんなバカと付き合うと１時間ごとに１万円盗まれるとの同じ事態が発生する。僕はこういう無自覚なバカを時間泥棒と揶揄して呼ぶことが多い。時間というもっともかけがえのない資産が不当に盗まれている。本来なら盗難事件として警察に通報したいところだが、さすがにそれは世間から理解されないのでせめて個人的にブロックするように心がけている。このロジック（論理）は反転すれば相手のためにもなる。僕がブロックしてあげることで僕との対立で無駄な時間や労力を費やすことなく大幅に節約できるわけだから。　もっと大袈裟のいうなら、時間というのは寿命の一部に他ならないのだから彼らは寿命泥棒と言える。残りの人生を仮に計算すると、僕が残りの人生で出会えるひとの数、読める本の数、観れる映画の数、ひとりの相手に使える時間は有限であることがわかる。時間は無限に無料で湧いてくる泉などではなく、湖面に形成された氷塊のように有限の資産だ。人と出会って会話するということは僕らはそれを量り売りしているようなものなのである。だから、このひとはそれに値するかどうか、多少値踏みしたほうが無難だ。貴重な資産を目の前の相手に差し出すべきなのかよく吟味した方がいい。時間を奪われることは少しだけ殺されることに等しいのだから。もちろん、これが行き過ぎるとただの横柄で性格が悪いやつになってしまうので、このルールが相手の側にも適用されていることをよく思い出そう。謙虚になろう。意図せず僕ら側も相手の時間という大事な資産を目減りさせてしまう恐れがあることをいま一度強調しておきたい。たとえば僕は待ち合わせで相手を待たせることはたとえ５分であっても基本的に死罪に値すると思っている。だから念には念を入れて遅くとも３０分前には現場に着くようにしている。医者になったいまでもこの原則は全く変わらない。パパ活でもお相手の女性に対して敬意を示すために基本的に同じ姿勢を貫いている。僕はお金と時間を差し出し女性と会う。そのようなわけで相手からの信頼は厚いけれど、友達がいないのである。